
アルマイト封孔処理について詳しく解説!なぜ、封孔処理が必要なのか?
【 目次 】
アルマイト封孔処理とは
アルミニウムやその合金にアルマイト処理を施した後、表面の微細な孔(微細孔)を封止することで、耐食性や耐候性を向上させる処理のことです。アルミニウムは空気中では薄い酸化被膜を生成し腐食防止をしていますが、より耐食性を向上させるのに人工的に厚い酸化被膜を生成させる事をアルマイト処理と言います。
アルマイト処理では、アルミニウムの表面に酸化皮膜を形成しますが、この皮膜には多数の孔が存在しており、これらの孔は、水分や塩分などの外部環境からの影響を受けやすく、皮膜の劣化や腐食の原因となります。
これらの孔を封止することで、皮膜の強度や密度を高め、耐食性や耐候性を向上させることをアルマイト封孔処理と呼びます。アルマイト封孔処理には、熱水封孔法やニッケル酢酸塩封孔法などがあります。
アルマイト処理を未封孔にするとどうなる?
表面の微細な孔を封止しないことにより、アルミニウム表面には硬くて耐食性の高い酸化皮膜が形成されますが、孔が開いたままなので、色素や防錆剤などを吸着する能力があります。
塗装や印刷の下地として利用されることが多く、電気的な絶縁性や摩擦係数の向上にも寄与しますが、一般的な封孔処理のアルマイトよりも耐熱性や耐光性に劣るという欠点があり、その分コストも安くなります。
【未封孔アルマイト皮膜の長所】
- アルミ素地に比べて硬度と耐摩耗性が格段に優れている。
- 電解電圧で皮膜構造が制御でき密着性良好な酸化皮膜が得られる。
- アルマイト皮膜の微細孔を利用して染色や電解着色が容易にできる。
【未封孔アルマイト皮膜の短所】
- 指紋や汚れが付きやすく、腐食性物質なども吸着されるため耐食性がない。
- 電解液による汚染や腐食が生じ、しみ・たれ・斑点などが形成される。
- 染料の色流れがあり、耐光性もない。
- 高湿化での電気特性が不安定。
封孔処理の種類
封孔処理には主に
- 加圧水蒸気処理
- 沸騰水処理
- ニッケル塩処理
- クロム酸塩処理/重クロム酸塩処理
などの水和処理が今でも使用されています。
加圧水蒸気処理
アルマイト皮膜を施した品物を十分に水洗いした後、耐圧高圧容器内に入れ、3~5気圧の蒸気を送り、20分~30分間保ち、封孔する方法であり、確実で性能的には優れているが、作業能率は悪くなります。
沸騰水処理
アルマイト皮膜を施した品物を十分に水洗いした後、純水、95~100℃の加熱水浴中に30分位保って封孔処理を行います。封孔水のPHは5.5~6.5以内にて行い、水の汚れや、PH6.5以上になると、粉吹き現象が表面に発生する事がある。この方法は作業能率が良く、現在多く使用されています。
酢酸ニッケル処理
酢酸ニッケルの水溶液中にて処理する方法。温度は95℃以上にて10~20分間保持し、封孔する方法です。
クロム酸塩処理/重クロム酸塩処理
重クロム酸塩溶液中で行う封孔処理。耐食性を高めるために用いる。重クロム酸カリウム、又は重クロム酸ナトリウムが使われる。
封孔処理の主な原理
封孔処理の主な原理はアルマイト後の酸化被膜を水和反応させることにあります。
水和反応とは、水分子と他の物質が化学的に結合して新しい物質を生成する反応のことです。
水和反応を利用した封孔処理では、金属表面に溶剤や触媒を含む溶液を塗布し、その後加熱することで、金属表面の孔に水和物が形成され、水和物を形成することで表面の体積が増加し、孔が閉じられ物理吸着性も低下します。
水和物を得るために水道水のままでは中に含まれる塩素イオンなどが封孔効果の邪魔をするため、効果を得ることができません。
蒸留水(純水)を使用することで水和物を得ることができます。
当社の封孔処理
太田金属では、加圧水蒸気による封孔処理・沸騰水中の封孔処理・無機物もしくは有機物の添加による封孔処理の方法から品物に応じて最適な封孔処理をご提案し処理を行うことができます。
また、封孔処理だけに限らず一連の工程を弊社内で完結させることが可能です。
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弊社が一連工程化にこだわる理由として
- 無処理のアルミニウムは水分や酸素、化学物質と反応しやすいため、プレス加工後時間を置くと表面が変色や腐食しやすい
- 硬度が低く長距離の運搬にも適していないため
- アルマイト処理や封孔処理は、脱脂や洗浄の前処理も重要となり皮膜の厚さもコントロールする必要があるため
上記の理由から、太田金属ではプレス加工・アルマイト加工処理まで一貫して管理することで時間的・距離的なロスを削減し、品質向上や不良率の低下を実現できます。
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