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【アルマイト加工処理は下準備が決め手】高品質なアルマイト処理をするために必要なこと

【 目次 】



  1. 脱脂処理

  2. デスマット処理

  3. アルマイト前処理


 

脱脂処理


アルマイト製品に酸化被膜を形成しアルマイト処理を行いますが、その際に脱脂処理が非常に重要な役割を果たします。

一般的に、アルミニウムの加工には、防錆油・切削油・ブレス加工油などが使われており、動物油・植物油・鉱物油およびグリスなど、加工方法によっても使用する油が変わります。

加工の際にアルミニウム製品の表面に付着した油分や汚れを除去することを脱脂処理と呼び、これを行わないと、酸化皮膜の生成が不均一になったり、皮膜の密着性が低下したりする可能性があります。

また、油分や汚れが電解槽内で分解されて水素ガスを発生させると、酸化皮膜に気泡が入り込んで品質が低下する恐れもあり、アルマイト加工において、脱脂処理を十分に行うことが、高品質な酸化皮膜を得るための必須条件と言えます。

 

脱脂処理の種類


脱脂剤には種類があり

  • エマルジョン脱脂

  • アルカリ脱脂

  • 酸脱脂

  • 溶剤脱脂


などがあり、油分により使用している脱脂剤の種類も変わります。

 

エマルジョン脱脂


エマルジョン脱脂とは、炭化水素系溶剤に水と界面活性剤を添加したエマルジョン溶液に対象物を浸漬させることで脱脂を行う方法です。

 

アルカリ脱脂


アルカリ脱脂とは、アルカリ性の溶液に浸漬することで、表面の油分や汚れを除去する方法のことで、酸化皮膜の均一性や密着性が向上します。

アルカリ脱脂の方法には、浸漬法、噴霧法、超音波法などがあります。それぞれに特徴や適用範囲が異なりますので、金属の種類や形状、汚れの程度などに応じて適切な方法を選択する必要があります。

 

酸脱脂


酸脱脂とは、硫酸や塩酸などの酸性の液でアルミニウムの表面を洗浄する方法です。

酸性の液は、油や汚れだけでなく、アルミニウムの表面もわずかに溶解させます。これにより、アルミニウムの表面が平滑になり、アルマイト液との反応が均一になります。

酸脱脂の方法は、製品の形状や材質、汚れの種類や程度によって異なりますが、一般的には以下のような手順で行われます。

 

  1. 酸性の液を加温してタンクに入れます。液の濃度や温度は、製品や目的に応じて調整

  2. 製品をラッキングしてタンクに浸漬します。浸漬時間は、製品や目的に応じて調整

  3. 製品をタンクから取り出し、水でよく洗い流します。水洗いは、流水やシャワーなどで行う

  4. 製品を乾燥させます。乾燥は、エアーブローやオーブンなどで行う


以上が酸脱脂の基本的な方法です。

 

【酸性の液についての注意点】

  1. 危険物のため取り扱いには十分注意が必要。

  2. アルミニウムを溶解させるため、浸漬時間や濃度を適切に調整しないと寸法変化や表面傷などが発生する可能性がある。

  3. 他の金属と反応するため、製品以外の金属製品と一緒に浸漬しないようにする。

  4. 廃液として処理する必要があります。廃液処理は法令や規制に従って適切に行う。


 

溶剤脱脂


溶剤脱脂とは、有機溶剤を用いて油脂類を溶解させて洗浄する方法です。

溶剤脱脂のメリットは、水洗いなどが不要で、乾燥させるだけで脱脂が完了することです。 また、溶剤によっては、アルミニウムの表面に残る水分や酸素を除去して、自然酸化皮膜の生成を防ぐこともできます。

溶剤脱脂に使用される有機溶剤には、炭化水素系やハロゲン系などがあります。

しかし、有機溶剤には発火性や揮発性が高く、取り扱いに注意が必要です。また、有機溶剤は環境や人体に有害な影響を与える可能性があるため、廃棄や回収などの対策も必要です。

 

 

デスマット処理


前工程で、洗浄やエッチング処理を行った際に、アルミニウムに含まれる不純物(炭素、ケイ素、銅)が処理液に溶けず、アルミニウム表面に析出したものを『スマット(微粒子)』と呼び、そのスマットを除去することを、『脱スマット(スマット除去)・デスマット処理』と呼びます。

デスマット処理をしなかった場合

スマットが残ったままの状態でめっきアルマイト加工を行うと、表面に凹凸が発生し、いいアルマイト処理ができません。デスマット処理を行うことが、良いアルマイト加工をする重要なポイントになります。

 

 

アルマイト前処理


アルマイトの前処理には、以下の処理方法があります。

  • つや消し

  • 鏡面加工

  • ヘアライン

  • 梨地処理(なしぢ)


 

つや消し


つや消し処理とは、表面に微細な凹凸をつけることで、光の反射を抑えてつや消し効果を得る処理法です。アルミニウム製品の見た目に重厚感を与え、アルミの素材感を引き出すことができます。

 

鏡面加工


鏡面加工処理とは、金属の表面を研磨(バフ研磨)して光沢を出すことで、美観や防錆性を高める表面処理の一種です。アルミニウム製品に高い品質と高級感を与えることができます。

 

ヘアライン


ヘアライン仕上げとはアルミニウム表面に髪の毛ほどの細かい傷を入れる研磨方法のことを言います。
ヘアラインの目を調整することで、高級感や光沢のバリエーションを出すことができます。

 

梨地処理(なしぢ)


梨地処理とは、アルマイト加工の前に行われる下地処理の一つで、表面に微細な凹凸をつけることで、光沢を抑えてザラザラとしたマットな質感を出す方法です。

摩擦効果や滑り止めの効果を出せます。

弊社では、ショットブラスト加工によるアルマイト前処理を行っており他にも、シボ加工と呼ばれることもあります。

太田金属では、すべてのアルマイト加工工程が社内で完結できるため、運搬による時間・距離のロスや、生産プロセスの管理により品質の向上に直結しています。
結果、コストパフォーマンス良く生産することが可能になっています。

 

 

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当社では、アルマイト加工の他に、深掘り加工・フッ素塗装・耐熱塗装も行っております。
『こんなことできる?』『こんな製品を作りたい!』など、お気軽にご相談ください。

 

 

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