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アルマイト・アルマイト処理(加工)・封孔処理とは?メリット・デメリットについても解説

【 目次 】



  1. アルマイトとは

  2. アルマイトの工程(例)G-49

  3. 封孔処理とは

  4. アルマイト加工の種類

  5. アルマイトのメリット

  6. アルマイトのデメリット

  7. アルマイト処理なら太田金属株式会社で


 

アルマイトは、アルミニウム及びその合金の表面に酸化皮膜を形成し、耐食性や耐摩耗性を高める処理方法の1つです。ひとえにアルマイトといっても、その種類は様々あり、それぞれ特性が異なります。本記事では、アルマイト加工について詳しく解説します。

 

 

アルマイトとは


アルマイトは、アルミニウムおよびその合金の表面に酸化皮膜を形成することで、耐食性や耐摩耗性を高めるための表面処理方法の一種です。電気めっきでは金属を陰極として電解し、金属イオンを表面に析出させますが、アルマイト処理はアルミニウムを陽極にして電解液中で酸化皮膜を生成する方法です。

また、化学法と呼ばれる手法では、アルミニウムを強酸や強アルカリ溶液に浸して化学反応を起こし、酸化皮膜を形成します。

アルマイト処理によって生成された皮膜の約3分の2は、アルミ基材の内部に浸透するため、剥がれにくく高い強度を持つコーティングに仕上がります。この処理は見た目の美しさを向上させる効果も期待できます。

 

 

アルマイトの工程(例)


アルマイト処理は、脱脂から封孔処理までの一連の工程を経て進められます。この際、各工程の間に水洗を挟まなければなりません。

水洗を行う理由としては、以下が挙げられます。

  1. 次の工程に薬品が持ち込まれるのを防ぐこと

  2. 表面に残った汚れや不純物を取り除くこと


アルマイト工程の流れ

 

脱脂


アルミニウム表面に付着した汚れや油分を取り除く工程です。脱脂にはいくつかの方法があり、有機溶剤法、界面活性剤法、酸性脱脂法(硫酸法)、電解脱脂法、アルカリ脱脂法、乳剤脱脂法などがあります。

使用する脱脂法は、表面に付着している油分の種類や性質によって適しているものが選ばれます。

 

アルカリエッチング


アルミニウムをアルカリ性溶液に浸し、表面の酸化皮膜や脱脂では除去できなかった油分などを取り除きます。しかし、この工程ではアルミニウムに含まれる鉄、銅、マグネシウム、ケイ素などの不純物が溶解せず、スマットと呼ばれる粉末状の物質として表面に残ることがあります。

 

スマット除去処理(酸中和)


デスマット処理をしなかった場合

アルカリエッチングで表面に残ったスマットを取り除く工程です。この処理には硝酸を含む酸性溶液が使用されるため、スマットを効果的に除去できます。

スマット除去など下地処理の重要性についてはこちら下地処理の重要性バナー


 

アルマイト処理


アルミニウム製品を専用のラックに取り付け、酸性溶液中に浸して電解処理を行い、酸化被膜を生成します。この酸化被膜が製品の耐食性や耐摩耗性を高める役割を果たします。

 

封孔処理


アルマイト処理で生成された酸化被膜には六角形の微細な孔が多数存在します。この孔を塞ぐことで、耐食性や耐久性がさらに向上します。

封孔処理の前に染料を孔に浸透させることで、さまざまな色を付けられます。このように着色したものは「カラーアルマイト」と呼ばれます。

太田金属のアルマイト工程についてはこちら

 

 

封孔処理とは


アルマイト処理後に必須とされる封孔処理は、酸化皮膜に存在する無数の微細孔を塞ぐことで、耐摩耗性や耐食性を高める技術です。方法には、化学的手法と物理的手法があります。

化学的手法では、酢酸ニッケルや酢酸コバルトを使用し、化学反応を利用して孔を埋めます。

一方、物理的手法では加圧水蒸気や沸騰水を用い、外部から圧縮力を加えることで孔を閉じていくのが特徴です。

 

加圧水蒸気による封孔処理


高圧容器内で3〜5気圧の蒸気を20〜30分間送り込み、微細な孔や亀裂を塞ぐ方法です。加圧水蒸気を利用した処理を行うことで、耐摩耗性や耐食性が大幅に向上します。

ただし、作業効率がやや低い点がデメリットです。

 

沸騰水中の封孔処理


アルマイト処理後の製品を純水や95〜100℃の熱水に約30分間浸すことで、酸化皮膜の微細孔を閉じる方法です。

この方法は作業効率が良く、広く利用されています。ただし、水の汚れやpHが6.5以上になると、粉吹き現象が起こるリスクがあります。

 

酢酸ニッケル処理


酢酸ニッケルの水溶液中で処理する方法です。95℃以上の温度で10〜20分間保持し、封孔していきます。

 

クロム酸塩処理/重クロム酸塩処理


重クロム酸塩溶液中で行う方法です。耐食性を高めるために利用される方法で、重クロム酸カリウムや重クロム酸ナトリウムが使われます。

封孔処理について更に詳しい内容はこちら


なぜ、封孔処理が必要なのか?バナー

 

 

アルマイト加工の種類


アルマイト加工は、アルミニウムやその合金に酸化皮膜を形成する電気化学的な処理技術です。この酸化皮膜は、耐摩耗性や耐食性、絶縁性に優れており、装飾や染色加工を施すことも可能です。以下で、アルマイト加工の種類を見ていきましょう。

 

硫酸アルマイト


硫酸アルマイトは、硫酸を使用してアルミニウム表面に人工的な酸化皮膜を作る方法です。主な目的は、アルミニウムの耐食性や耐摩耗性の向上であり、色や光沢を加えることも可能です。

この処理は電気化学反応に基づいて行われ、厚みや硬度が高く、多孔質構造が特徴です。そのため、塗装や印刷などの後工程が容易になります。

 

硬質アルマイト


硬質アルマイトは、通常のアルマイトよりも厚く硬い酸化皮膜を生成する処理です。これにより、耐摩耗性が大幅に向上し、傷がつきにくくなるため、工業製品や機械部品、工具などで広く活用されています。

膜厚や素材、処理条件により色調が変化するのですが、基本的には灰色から黒色が一般的です。

 

化研アルマイト


化研アルマイトは、均一で強固な酸化皮膜を形成する技術で、耐食性や耐摩耗性に優れているだけでなく、光沢や色彩の変化も可能です。化研アルマイトは電気化学的反応を利用しているため、自動車や航空機などの産業分野で高い評価を得ています。

 

染色アルマイト


染色アルマイトでは、アルミニウム表面に形成した酸化皮膜の微細な孔に色素を浸透させることで着色します。その後、封孔処理を行い、色素を定着させます。

染色アルマイトは、金属の光沢や耐食性を損なうことなく多彩な色合いを実現できるため、建築材料や自動車部品、家電製品などに広く使用されているのが特徴です。

アルマイト加工について更に詳しい内容はこちら


 

 

アルマイトのメリット


アルマイトを行うメリットとしては、以下の項目があげられます。

 

耐食性の向上


アルマイト処理によって自然発生の酸化皮膜よりも厚みのある被膜が生成されるため、耐食性が大幅に向上します。

 

絶縁性の向上


アルミニウム自体は電気を通しますが、アルマイト被膜は電気を通さないため、製品の絶縁性が向上します。

 

硬度の向上


通常のアルミニウムの硬度は45〜100HVですが、硬質アルマイトを施すことでHV400以上の硬度を持つ製品が得られます。そのため、自動車のエンジン部品や航空機の部品など、高い耐摩耗性が求められる分野で広く活用されています。

 

熱伝導率の低減


アルミニウムは銀や銅に次いで高い熱伝導率を持つ金属ですが、アルマイト被膜の熱伝導率はアルミニウムの約1/3に低下します。

 

多彩なカラーリングが可能


アルマイト被膜自体は透明ですが、孔に専用の染料を吸着させることで多彩なカラーを付けられます。アルミニウムの軽量性や熱伝導率の良さと相まって、デザイン性が求められるアウトドアグッズやパソコンフレーム、カトラリーなどにも広く利用されています。

 

 

アルマイトのデメリット


アルマイトのデメリットは以下の通りです。

 

剥がれやすい


アルマイト被膜は柔軟性がないため、加工や曲げ作業を行うと、被膜が剥がれたり、割れたりする可能性があります。

 

耐熱性の欠如


アルマイト被膜の熱膨張係数はアルミニウムの約5分の1と低いため、100℃以上の高温環境では母材であるアルミニウムに追従できず、被膜にクラックが発生することがあります。

 

 

アルマイト処理なら太田金属株式会社で


アルマイト処理は、耐食性、耐摩耗性、デザイン性を高めるための優れた技術ですが、加工後の柔軟性や高温環境への耐性には注意が必要です。それぞれの特性を理解し、用途に応じて活用しなければなりません。

アルマイト処理でお困りなら、ぜひ太田金属にご相談ください。太田金属では、アルマイト加工の実績も多く、これまで様々な製品作りに携わってきました。
近年では、建築部品、オイルフィルターケースの深絞り加工も行っております。ぜひ一緒に納得のできる製品をつくりましょう。

 

 

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