【アルマイト加工88年の企業が解説】アルミ合金のメリット
【 目次 】
アルミ合金とは
アルミ合金とは、アルミニウムに2種類以上の金属元素を添加したもので、軽量で強度が高く、耐食性や加工性に優れた材料です。実は、私達の身近な製品にもアルミニウム合金はよく使われており、自動車や航空機、建築物や家電製品など、さまざまな分野で広く利用されています。
そもそも、なぜアルミニウムを混合して「合金」を作るのでしょうか?
アルミは、軽量で熱が伝わりやすく加工しやすい特長がある一方で、柔らかく傷つきやすい一面も持っています。
そこで、銅やマグネシウムなどの金属などと合わせることによって、強度を向上させ、より軽く、熱伝導率が良い材質を作ることができました。
また、柔らかく傷つきやすい一面を補うためにアルマイト加工も非常に有効な手段です。
▶アルマイト加工とは
アルミ合金の種類
アルミ合金は、JISにおいて4桁の数字からなる国際アルミニウム合金名がアルミ合金の名前の一部に取り入れられており、それぞれ№1000ごとに混合されている物質が異なります。
その為、番号で何の物質との合金なのか判断が可能ということです。
No.1000~【純アルミニウム】
アルミ缶やアルミ箔にしようされる工業用の純アルミニウム。
成分の99%がアルミニウム(Al)で構成されており、非熱処理型の低強度合金と呼ばれ、導電性や熱伝導性、耐食性に優れており、リサイクル性も高い。
※豆知識
QアルミニウムのA1050、A1070ってどんな意味があるの?
A数字の表記は、アルミニウムの純度を示します。
A1050の場合、アルミニウム純度が99.5%以上。
A1070の場合、アルミニウム純度が99.7%以上であることを示しています。
No.2000~【Al-Cu系】アルミニウム+銅
銅(Cu)を加えることで鉄鋼材料に匹敵する強度を持ち、熱処理を行うことで更に強度が向上します。
その反面、銅を多く含ませると耐食性が低下してしまいます。
No.3000~【Al-Mn系】アルミニウム+マンガン
マンガン(Mn)を加えることで加工性・耐食性を低下させずに中程度の強度と良好な延性を持ちます。
熱処理による強化はできませんが、冷間加工によって強化することは可能です。
※冷間加工とは
冷間加工とは、金属材料を加熱せずに圧力や引っ張りなどの力を加えて、形や寸法を変える加工方法です。
No.4000~【Al-Si系】アルミニウム+ケイ素
ケイ素(Si)を加えることで熱膨張率が抑えられ、耐摩耗性が向上します。
耐熱性にも優れており、ピストンやシリンダーなどに使われることが多いです。
No.5000~【Al-Mg系】アルミニウム+マグネシウム
マグネシウム(Mg)を加えることにより、軽量で高い強度と延性を持ち、耐食性、溶接性が向上します。
No.6000~【Al-Mg-Si系】アルミニウム+マグネシウム+ケイ素
マグネシウムとシリコンを加えることで、強度と耐食性に優れています。
経年損傷に強く、押出性に優れているため、建築用のサッシなどにも使われている。
No.7000~【Al-Zn-Mg系】アルミニウム+亜鉛+マグネシウム
亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)を加えることで、熱処理により現存するアルミ合金の中で、最も高い強度を誇ります。
日本で開発された超々ジェラルミン(A7075合金)は、航空機やロケットの部品などに使用されている。
アルミ合金のメリットとデメリット
アルミ合金のメリット
アルミニウムに何を混合させるかで特性が変わりますが、大きなメリットは軽量性と加工のしやすさです。
比較的強度に優れながらも柔らかい性質を合わせ持っており、様々な製品に活用されています。
(アルミ合金別の比重)
- A1000~:2.70(20℃ Mg/m3)前後
- A2000~:2.79(20℃ Mg/m3)前後
- A3000~:2.72(20℃ Mg/m3)前後
- A4000~:2.68(20℃ Mg/m3)前後
- A5000~:2.66(20℃ Mg/m3)前後
- A6000~:2.69(20℃ Mg/m3)前後
- A7000~:2.79(20℃ Mg/m3)前後
添加元素や熱処理や冷間加工などの方法によって、強度や硬度を調整することができる他、作りたい製品に適した材料を選択することができることも大きなメリットと言えます。
他にも、空気中の酸素と反応して表面に酸化皮膜を形成するため、鋼鉄材の弱点でもある海水や真水などに対しても耐久性があり腐食を防ぐ働きがある点や、低温環境の元で使用しても破損しにくいなどのメリットがあります。
アルミ合金のデメリット
ある程度硬度の向上ができるとはいえ、鉄鋼材に比べると強度は劣ります。
摩擦や衝撃による摩耗に弱いため、表面にコーティングやアルマイト処理を施すことで耐摩耗性を向上させることができます。
鉄鋼材と比べると、融点が低く高温になると強度や硬度が低下し、変形や軟化する傾向があります。
アルミニウム合金は、軽量で強度が高く、耐食性や加工性に優れた材料です。しかし、耐摩耗性や耐熱性には劣り、応力腐食割れにも注意が必要です。アルミニウム合金には、添加元素によってさまざまな種類があります。そのため、用途や条件に応じて最適な材料を選択することができます。
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